

愛知県の“障がい者雇用率”
「全国43位※」から「全国1位」の実現へ!
※2023年時点
VISION
世界にひとつだけの「個性」の花が咲く世の中の創造
MISSION
人はみな唯一無二の個性・性格・特性を持っている
社会や企業が個々を尊重し歩み寄り、相互理解を深める事で継続的なノーマライゼーション型社会を作り出す
ビジョン・ミッション
愛知県の“障がい者雇用率”
「全国43位※」から
「全国1位」の実現へ!
※2023年時点
VISION
世界にひとつだけの「個性」の花が咲く世の中の創造
MISSION
人はみな唯一無二の個性・性格・特性を持っている
社会や企業が個々を尊重し歩み寄り、相互理解を深める事で継続的なノーマライゼーション型社会を作り出す
ビジョン・ミッション
協同組合立上げの経緯とその想い
01 “夢”と“現実”の違いの苦悩
「引きこもり」の子どもたちを支援する通信制高校の教壇に立つ機会があり、そこでは、イラストレーターやフォトショップなどのデザイン制作ソフトを使用して、子どもたちに広告のデザインについて教えていました。絵を描くことが好きな子、言葉やイラストを使ってなら思いっきり自分を表現できる子、今までデザイン制作ソフトを触ったことがない子たちも楽しそうに取り組み、自分たちの思ったことを表現する場ができた事を嬉しく思っているように感じました。
広告デザインのいろはが少し分かってきた頃に、自分たちを表現して、たくさんの人たちに自分たちを知ってもらうための「フリーペーパー」を制作することになりました。彼らは自分たちで企業訪問をしてフリーペーパーの趣旨を説明し、スポンサーとして広告枠を購入してもらい、「お仕事」を通じて学びながらフリーペーパーを世に出していったのです。
そのフリーペーパー作りに1年生の頃から参加していた子どもたちが2年生になり、後輩たちに教え、またその後輩たちと一緒にフリーペーパーを作り続けました。
そして、進路を考える立場である3年生になると、今まで学んできたことを活かしたい!もっと学べる大学に進みたい!等と、満面の笑みを浮かべながら、たくさんの夢を語り合うようになっていました。
ただ、現実社会は厳しいモノで、高校卒業の新卒生が「広告デザイナー」という夢の一歩を踏み出すことはかなり難しく、技術や知識があっても、コミュニケーション能力が劣っている、引きこもりの過去がある、といった理由で社会への進出が阻まれてしまうのです。
もともと引きこもりで苦しんでいた子どもたちが、通信制高校の協力もあって家から一歩を踏み出し、学校へ行き友達を作り、学校で学び夢を語り将来を考え始めるところまで成長したにも関わらず、一般の社会は、そんな子どもたちの頑張りを無視し、社会の一員として受け入れてはくれませんでした。
他の人と同じように比較されてしまえば、劣るところもある。でも、光る部分もある。
だけど社会は、他の人と同じように平均的にできる人を参画させようとする。
たくさんの紆余曲折を経て、自分の楽しみをやっと見つけて光るモノを感じ取ったのにも関わらず、社会の一員として参画することがこんなに難しいなんて…と、ここでま大きな挫折を味わってしまうのです。
そしてその挫折は、二度と社会参画ができないくらい心に大きなダメージを負ってしまったり、自分の楽しみを押し殺して、やりたくもない、楽しくもない仕事しか選択肢がなくなった中で、社会参画を余儀なくされたりすることにも繋がります。
参考資料:増加する通信制の高校生
(平成元年→令和元年)

(文部科学省『学校基本調査(平成元年度)』及び『学校基本調査(令和元年度)』より作成)
02 障害福祉事業との出会い
一体何のために生まれてきたのか、何のために社会に出て働くのか。せっかく引きこもり人生から脱出したのに、また逆戻りか…と思う子どもたちを、たくさん見てきました。
確かに企業としては、生産能力の高い人に入社してもらいたい、より優秀な人材に来て欲しいと思うのは当たり前のことです。
ただ、こういった突出した能力を発揮することで社会に貢献できる人たちもいる事をもっと知って欲しい、その人たちの能力に実際に触れて感じて欲しい、と現実社会に対して強い憤りを感じていました。
そんな時、就労継続支援A型事業という障害福祉の事業に出会いました。
通信制高校に通っていた子どもたちを見ていると“障がい者”とは思えなかったのですが、その当時には「発達障害」という言葉も割と浸透していたので、もしかしたら何らかの障害という枠に当てはまっていたのかもしれません。彼らはその「障害」になかなか気付かず、ただ社会の中で生きづらくて学校に行けなくなり、なくなく引きこもりの選択をしていたのか…と思いました。
「だけど、しっかりと特性や、その人それぞれの個性や能力を見抜くことさえ出来れば、その人たちが輝ける場所ができるんじゃないか!」
これはこの事業に出会った意味がある、と強く感じ、就労継続支援A型事業を立ち上げることにしました。
就労継続支援A型事業所は、通常の会社と同じ雇用形態で、障害を持った方と雇用契約を締結するのですが、応募をしてくる方というのは基本的に一度社会経験をした方がほとんどで、何らかのきっかけで心に傷を負ったり、心を病んでしまったりして、社会の中で生きづらくなった人たちでした。これは、年齢は違えど、通信制高校に通っていたあの子どもたちと同じだったのです。
事業所に来てくれる方たちは、それぞれ色んな特性があり、全てにマルチ対応はできないけれど、どこかに突出した光るモノがあるということが分かったのです。
しかしその反面、苦手なところもしっかりと見なければなりません。例えば、仕事を覚えるまでに少し時間が掛かったり、苦手な業務が付随すると全体的な効率が下がってしまったり、過集中になりすぎて疲れて次の日来られなくなったりするなど、これもまたそれぞれに特性があることが分かりました。
事業所に来てくれる方達の特徴の一例

一点集中型で
集中力が特に高い

細かい作業が
特に得意

パソコンの理解力が
特に高い

分析・解析など
数学的な事が特に得意
03 “矛盾”に対する活動の難しさ
ただ、良くも悪くも特性が分かったとしても、社会の理解は別物でした。
「障害」という言葉を聞くだけで、仕事の品質は大丈夫か?きちんと仕事をやってもらえるのか?など、言葉の解釈で大きな誤解があるように感じました。
確かに本人さんたちの仕事ぶりを見てもいなくて、その人たちに触れたこともなければ、勝手な想像が先行してしまうのも仕方のないことだなぁとは思いました。
そうなると、「お仕事」として依頼を受けられる内容は「内職」のような低単価の作業系ばかり。もしくは3Kと言われるような、人が嫌がる仕事など、たくさん依頼はありますが、結局たくさんこなしても、売り上げの達成には結びつきません。
デザインなどモノづくりが得意な方は、広告デザインなどの仕事をやってはいましたが、そんなにたくさんあるわけでもないので、自分たちでアート作品や雑貨を作り、イベントに出店してそれを売ってみたりもしました。
事業所に来てくれる人たちが、自分たちの携わった仕事でお客様に感謝されたり、それが対価として給料に反映されたりする…そのような社会活動を、この就労継続支援A型事業所で行っていくことが、そもそも簡単ではないということを実感しました。
ある時、行政の方からお話があり、福祉の気持ちで活動しているのか、就労の気持ちで活動しているのかを聞かれる機会がありました。もともとは福祉事業という枠組みで事業を立ち上げていたので、福祉の気持ちの方が強いという返答をしたところ、A型事業所は就労の場であり、生産性を追求する所だと言われました。
このA型事業所に来ている方たちは、一般企業での生産活動の中で、何らかの理由で働けなくなってしまった方が大半なのに、その生産活動をしなければならない、というお達しを受けたのです…。とにかく矛盾を感じました。そんな事ができるのであれば、初めから一般社会でも受け入れられて、勤め続けているだろう、と。
それからも生産活動については厳しい指導を受け、事業所としてもより高単価でより良い質の仕事を探し続けています。ただ、やはり先述したように、「障害」という言葉が何より障壁になり、企業様からの請負が難しい状況はあまり変わっていません。
我々としても、企業様への啓蒙活動にも力を入れ、より理解を深めていただく事でより良いお仕事をいただくという活動が必要になってきています。
就労支援事業収支

生産活動収支≧賃金を満たす事業所は22.6%
他、各種調査でも7〜8割は生産活動収支>賃金という状況。
さらに、この生産活動収支>賃金の事業所の計画書ですが、
目標に達するのは19.5%と2割を切っており、計画を実現しても目標に達しない事業所が8割強、となっています。
計画策定段階で既に赤字の計画となっており、いわゆる「絵に描いた餅」状態になってしまっているのではないかと思われます。
(資料:平成30年度障害者総合福祉推進事業「就労継続支援A型事業所の経営改善に関する調査研究」)
04 見えてきた新たな“課題”
こういった背景の中、A型事業を営んで9年目を迎えるところまで邁進し続けてきました。
時代の背景なのか、我々の努力が少しずつ実ってきたのか、理解してくださる企業様が少しずつ現れ、しっかりとした単価やお仕事内容で発注してくださるようになり、利用してくださっている方の経験値が上がり、ステップアップとして一般企業様へ就労してもらえる機会が少しずつ増えてきたのです!
お仕事をいただいて、利用されている方々のお給料をお支払いする事はもちろんのこと、そのお仕事が皆さんの知識と経験になり、改めて一般企業で勤めるという「夢」が現実的になってきているのです。
障がい者を雇用しなくてはならない「法定雇用率」は今の段階では2.3%ですが、2027年には2.7%まで引きあがる事が約束されています。そもそも雇用しなくてはならないという社会が間違っているような気はしますが、そういった強制的な効力がないと障がい者雇用が増えていかないという現実問題もあるからだと認識しています。
我々の目標として掲げている事は、法定雇用に関係なく、障害を持っている方も持っていない方も、個性と同じように特性があることを広く理解され、皆が一様に社会参画することができ、それぞれの特性を活かしながら社会に必要とされるようになることです。その為には、雇用側も被雇用側もお互いに理解し合わなければなりません。それが現実のものになれば、真のノーマライゼーション型社会が実現すると思っています。
まだまだ社会的理解は浅いと感じています。
その理解が浸透することを待っていては、今を生きている人たちからしてみれば、日が暮れてしまうと思われても仕方のないことです。
どんな逆境が生じようとも、我々は障害福祉分野で活動をしてきた福祉人として、あらゆる角度や手法、方法で障がい者雇用の理解を深め、一般社会への参画を広げていかなくてはなりません。
特に、障がい者雇用を必要とする大企業はもとより、中小企業も視野に入れていかなくてはなりません。中小企業の数は、日本の企業の99%を占めるとも言われています。そんな大多数を占める中小企業が、より障がい者雇用に努めてくれれば、雇用される障がい者の方々が明らかに増えることも明確です。
障がい者の法定雇用率の段階引き上げ
現行 | 令和6年4月〜 | 令和8年4月〜 | |
---|---|---|---|
法定雇用率 | 2.3% | 2.5% | 2.7% |
障害者雇用の対象となる事業主の範囲 | 従業員43.5人以上 | 従業員40人以上 | 従業員37.5人以上 |
05 目指すべき場所
言葉で言うのは簡単ですが、中小企業はまだまだ売上や利益が不安定なところが多いのも事実です。まずは会社の根幹をしっかりと太く強くしていかなくてはならない中で、障がい者雇用を優先的に考えていくのは、これまた難しいことだと思います。
そこで、今回の事業協同組合というスキームを活用すれば、中小企業たちが共同体として障がい者を雇用するという仕組みが利用できるのです!
その共同体に参画している企業同士が力を出し合い、組合の中で参画企業全体の法定雇用率を満たしていこう!というモノです。
素晴らしい特性を持った方々を、リスク少なく雇用することができ、自社の生産活動にも参加してもらえる、さらには法定雇用率をも満たす、そんなことが実現できるとしたらどうでしょう?
これこそが、実現可能で継続的な社会貢献、まさにSDGsが言わんとしていることの模範になっていると思いませんか!?
共同雇用すれば、企業も安定化を図りながら雇用リスクを最大限に抑え、生産活動も継続できます。そんな参画企業が増えれば、自ずと雇用される障がい者の数も増えていきます。
さらに、共同雇用されている障がい者は、生産活動を通じてスキルアップができれば、こういった活動に賛同してくださる大企業などに就労する可能性も高くなっていきます。
今まで我々は1社の民間企業として、障がい者の生産活動への理解、一般社会参画への理解、一般企業での雇用創出への理解について啓蒙活動してきました。しかし同時に、やはりこれには限界があると強く感じていました。
共同体である組合を立ち上げ、参画企業同士が相互理解のために情報発信をして、それが障がい者の方々の生産活動につながり、社会参画につながり、就労意欲につながる。ひいては労働人口が減っていく中での障がい者数の増加という社会問題への解決につながっていくと心から信じています。
持続可能な開発目標(SDGs)とは

2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年までの国際目標です。
持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。
(参考: Japan SDGs Action Platform / 外務省)
著者

アプリシエイツ発起人
浅井 秀紀
株式会社ビジョンクリエイツ/代表取締役
株式会社たなごころ/創業者
元は私も雇われの身でしたが、ドロップアウトした社会不適合者という自覚もあります。ただ、自分で切り開く事でこんな自分でも生きていける社会を小さいながら作る事ができました。
そんな自分自身そのままで生きていける社会を、少しでも浸透させていきたいと心から願っております。

アプリシエイツ発起人
渡辺 裕立
株式会社たなごころ/代表取締役
周りに障害を持った方がいる、生まれ育った環境下で私にもそんな経験がありました。
生活する、働く、今よりも生きやすく、誰しもが分け隔てなく手を差し伸べられることができれば、就労だけでなく生活そのものが変わり、生きやすい社会が出来るはずです。
後発的に発症することが多い精神障害、現代病とも言われる障害が増えてきている世の中だからこそ、当組合が果たすべき役割は大きく、必ず社会を変えると信じています。