法定雇用率とは?2026年最新制度と企業の対応をわかりやすく解説(後編)

コラム

はじめに

2026年7月から、民間企業の法定雇用率は2.7%へ引き上げられ、障がい者雇用義務の対象となる企業も常用雇用労働者37.5人以上へと拡大しました。
法定雇用率への対応を進めるうえでは、必要な人数を採用するだけでなく、障がいのある方が能力を発揮し、安心して働き続けられる環境を整えることが重要です。

前編では、法定雇用率の基本や計算方法、2026年7月の変更点、法定雇用率を満たさない場合に企業へ求められる対応について解説しました。

前編|法定雇用率とは?2026年最新制度と企業の対応をわかりやすく解説(前編)

後編では、制度への対応をより具体的な雇用につなげるために、障がい者雇用を成功させるポイントや、事業協同組合等算定特例制度についてなどを解説します。
「どのような業務を任せればよいかわからない」「社内の受入れ体制に不安がある」という企業様にも取り入れやすいよう、実務的な視点からご紹介します。

障がい者雇用を成功させる5つのポイント

法定雇用率の達成はゴールではなく、持続可能な障がい者雇用に向けたスタートです。
ここでは、採用後の活躍や定着につなげるために、企業が押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

業務を整理し、職域を明確にする

障がい者雇用のために、無理に新しい仕事をつくる必要はありません。
まずは既存業務を見直し、担当者の負担になっている定型業務や、複数の部署に分散している業務などを洗い出します。
業務を細分化し、必要な能力、作業手順、勤務時間、求める成果を整理することで、一人ひとりの特性や強みに合った仕事を設計しやすくなります。

社内の理解を深める

障がい者雇用を人事担当者や配属部署だけの取り組みにしないことも重要です。
障がい特性や合理的配慮に関する研修を行い、「特別扱い」ではなく、働くうえで生じる困難を減らすための調整であることを社内で共有します。
相談先や対応方法をあらかじめ決めておくと、現場の不安や負担も軽減しやすくなります。

定期的な面談を実施する

採用直後は問題がないように見えても、業務量や人間関係、体調などの変化によって、働きにくさが生じることがあります。
定期的な面談を通じて、困りごとを早期に把握し、業務内容や勤務方法を調整できる体制を整えましょう。
本人だけでなく、上司や支援担当者とも情報を共有し、必要に応じて支援方法を見直すことが大切です。

外部の支援機関と連携する

障がい者雇用は、自社だけですべてを完結させる必要はありません。
ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所など、さまざまな支援機関があります。
採用前の職務設計から採用後の定着まで、外部の専門的な知見を活用することで、企業と本人双方の負担を軽減できます。

自社に合った制度を活用する

障がい者雇用には、助成金や定着支援、ジョブコーチ支援など、企業を支えるさまざまな仕組みがあります。
また、複数の中小企業が連携して障がい者雇用を進める事業協同組合等算定特例という制度があります。
制度の目的や要件を正しく理解し、自社の課題や状況に合った方法を選択することが、持続可能な障がい者雇用につながります。

障がい者の算定方法の改正にも注目

近年は、法定雇用率だけでなく、実雇用率における障がい者のカウント方法も見直されています。
2023年4月からは、週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、雇入れからの期間などにかかわらず、当分の間、1人を1カウントとして算定できるようになりました。
また、2024年4月からは、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者について、1人を0.5カウントとして実雇用率に算定できるようになっています。
厚生労働省:障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

これらの変更により、体調や障がい特性に応じて短時間から働き始めるなど、多様な働き方を雇用率制度に反映しやすくなりました。
ただし、短時間雇用を導入する際も、「雇用率に算定できるから」という理由だけで勤務時間を設定するのではなく、本人の希望や体調、業務内容、将来のキャリアを踏まえて検討することが大切です。


事業協同組合等算定特例とは?

障がい者雇用を進めたいものの、次のような課題を感じている中小企業も少なくありません。
「自社だけで採用や受入れ体制を整えるのが難しい」
「一社だけでは、安定して任せられる業務量を確保できない」
「障がい者雇用や定着支援に関するノウハウが不足している」
こうした中小企業が連携して障がい者雇用を進めるための仕組みが、事業協同組合等算定特例です。
この制度では、厚生労働大臣の認定を受けた事業協同組合等と、一定の要件を満たす組合員企業である特定事業主を一つの事業主体とみなし、それぞれの常用雇用労働者数と雇用障がい者数を合算して、実雇用率を算定します。
単に、組合が雇用した障がい者を各企業へ自由に振り分けて算入できる制度ではありません。認定を受けるためには、組合と組合員企業の人的・営業上の関係、雇用促進事業の実施体制など、複数の要件を満たす必要があります。
制度の詳しい仕組みや対象企業の条件については、今後「事業協同組合等算定特例」の解説コラムでも詳しくご紹介します。


アプリシエイツを活用した障がい者の共同雇用

有限責任事業組合アプリシエイツは、事業協同組合等算定特例の認定を受け、障がい者の共同雇用事業を行っている有限責任事業組合です。
私たちが目指しているのは、法定雇用率という数字だけを満たすことではありません。
障がいのある方が安心して働き続け、自分の力を発揮できること。そして、参画企業にとっても、その仕事が事業や組織の成長につながることを大切にしています。

アプリシエイツでは、参画企業と連携しながら、次のような取り組みを進めています。

  • 法定雇用率や障がい者雇用に関する相談
  • 事業協同組合等算定特例の仕組みや参画条件の説明
  • 障がいのある方が担当する業務の創出
  • デジタル化、入力、動画制作、ライティング、SNS運用などの業務
  • マーケティングとプロモーションの支援全般
  • AIを活用した業務効率化、独自のAIシステム開発支援
  • 障がい特性や適性を踏まえた業務設計
  • 就業後の相談対応や定着に向けた継続的な支援
  • 参画企業を対象とした障がい者雇用に関する学びの機会の提供
  • 直接雇用に向けた社内環境整備や、定着の為の支援と伴走サポート

アプリシエイツの共同雇用事業では、参画企業にも、障がいのある方の雇用を支える当事者として関わっていただくことを大切にしています。
制度を利用して数字だけを達成するのではなく、業務の発注や雇用環境づくり、障がい者雇用への理解促進を通じて、企業と働く方がともに成長できる関係をつくることを目指しています。

参考:「有限責任事業組合アプリシエイツ」とはどういった団体なのか?


アプリシエイツが大切にしていること

障がい者雇用は、「法定雇用率を達成するためだけの取り組み」ではなく、企業と人がともに成長するための取り組みであると、私たちは考えています。
企業ごとに、抱えている課題は異なります。採用方法に悩んでいる企業もあれば、切り出せる業務が見つからない企業、受入れ体制や定着支援に不安を感じている企業もあります。
だからこそアプリシエイツでは、一社一社の状況に寄り添いながら、参画企業と障がいのある方の双方にとって、持続可能な雇用の形を一緒に考えています。
「誰もが自分らしく働き、互いを認め合いながら活躍できる社会」を目指すこと。
それが、私たちアプリシエイツの願いです。

まとめ|法定雇用率への対応を持続可能な雇用につなげよう

2026年7月1日から、民間企業の法定雇用率は2.7%へ引き上げられ、雇用義務の対象となる企業も、算定基礎となる労働者数37.5人以上へ拡大しました。
対象企業にとって、制度を正しく理解し、計画的に対応することは重要です。
しかし、それ以上に大切なのは、障がいのある方が安心して働き続け、一人ひとりの力を生かせる職場や仕事をつくることです。

また、自社だけで障がい者雇用を進めることが難しい場合には、支援機関との連携や、事業協同組合等算定特例の活用も選択肢となります。
有限責任事業組合アプリシエイツでは、事業協同組合等算定特例を活用した共同雇用事業を通じて、参画企業と障がいのある方の双方にとって価値のある雇用を目指しています。

「法定雇用率への対応方法を知りたい」
「自社だけで障がい者雇用を進めることに不安がある」
「事業協同組合等算定特例やアプリシエイツへの参画について詳しく知りたい」
このようなお悩みをお持ちの企業様は、アプリシエイツへご相談ください。
制度の説明だけでなく、企業様の課題や状況を伺いながら、持続可能な障がい者雇用の実現に向けて伴走します。
お問合せ 事業協同組合等算定特例や共同雇用について相談する 

著者プロフィール
浅井 秀紀(Hideki Asai)
LLPアプリシエイツ 発起人
株式会社ビジョンクリエイツ 代表取締役/株式会社たなごころ 創業者
マーケティング・ブランディングを軸に企業の課題解決を支援する株式会社ビジョンクリエイツ代表。デザイン・Web・広告・SNS・マーケティングなど幅広いプロジェクトを手掛ける。
障がいのある方がクリエイティブな仕事を通じて社会で活躍できる環境づくりを目指し、株式会社たなごころを創業。現在はLLPアプリシエイツの発起人として、企業・福祉・教育をつなぐ新しい障がい者雇用モデルの構築に取り組んでいる。

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