はじめに
「障がい者雇用とは?企業が知っておくべき基礎知識を解説(前編)」では、障がい者雇用の基本的な考え方や制度、企業に求められる背景について解説しました。
後編では、中小企業が障がい者雇用で抱えやすい課題と、その具体的な解決策について詳しく解説します。
障がい者雇用で企業が抱えやすい課題

障がい者雇用を進める中で、多くの企業が次のような課題を抱えています。
業務の切り出しが難しい
障がい者雇用を検討する企業の多くが最初につまずくのが、「どの仕事を任せればよいのか分からない」という課題です。
しかし、新たな業務を作り出す必要はありません。既存業務を細分化することで、サポート業務や定型業務など、障がいの特性に応じた業務を見つけられるケースも多くあります。
「障がい者=能力が低い」「軽作業しかできない」「清掃やPC入力程度しか任せられない」といった固定観念を持ってしまうケースは少なくありません。
しかし実際には、障がい特性や経験、スキルは一人ひとり異なります。事務職やIT、デザイン、営業サポートなど幅広い業務で活躍している方も多くいます。
大切なのは「障がい」で仕事を決めるのではなく、「その人ができること」を見極め、既存業務を整理・切り出しする視点です。
社内理解への不安
障がい者雇用は、人事担当者だけで完結するものではありません。
一緒に働く社員が障がい特性を理解し、お互いに配慮しながら働ける職場づくりが求められます。
十分な説明や研修が行われないまま採用すると、
・接し方が分からない
・特別扱いしてしまう
・誤解や偏見が生まれる
といった問題につながることもあります。
だからこそ、障がい者雇用を企業文化として根付かせるためには、全社員への理解促進が欠かせません。
定着が難しい
採用できても長く働き続けてもらうことは簡単ではありません。
障がい者雇用では、採用後の「定着」が大きな課題となっています。
障害者職業総合センターの調査によると、一般企業等に就職した障がい者の1年後の職場定着率は58.4%であり、約4割が1年以内に離職しています。
また、精神障がい者では1年後の定着率が49.3%と、半数を下回る結果となっており、採用後の継続的な支援や職場環境づくりの重要性が示されています。
参考:障害者職業総合センター 障害者の就業状況等に関する調査研究
定着には、
・定期的な面談
・業務内容の見直し
・支援機関との連携
・働きやすい職場づくり
など、継続的なサポートが欠かせません。
企業と本人が互いにコミュニケーションを重ねながら、一緒に働きやすい環境を築いていくことが重要です。
中小企業でも障がい者雇用はできる?

もちろん可能です。
近年では、中小企業向けの支援制度やサポート体制も充実しています。
また、一社だけで取り組むことが難しい場合でも、
・就労支援機関との連携
・地域ネットワークの活用
・共同雇用の仕組みの活用
などによって、無理なく取り組めるケースもあります。
重要なのは、最初から完璧な環境を目指すのではなく、できることから一歩ずつ始めることです。
APPRECIATESが取り組む「共同雇用」という選択肢

こうした課題を解決する新しい選択肢として、APPRECIATESでは「共同雇用」という仕組みを提案しています。
この取り組みは、厚生労働省が定める事業協同組合等算定特例制度の考え方も踏まえた仕組みであり、中小企業が単独では難しい障がい者雇用に取り組みやすくする制度として注目されています。
参考:厚生労働省 事業協同組合等算定特例
事業協同組合等算定特例制度では、一定の条件を満たした事業協同組合等と組合員企業が実雇用率を通算できるため、単独では雇用が難しい企業でも、共同で障がい者雇用を推進しやすくなります。
APPRECIATESでは、この考え方を踏まえ、中小企業が障がい者雇用に取り組みやすくなる仕組みづくりを進めています。
なお、「事業協同組合等算定特例制度」の概要や認定要件などについては、今後別の記事で詳しく解説していきます。 制度を活用した障がい者雇用をご検討の方は、ぜひそちらもご覧ください。
障がい者雇用で大切なのは「相互理解」
障がい者雇用で最も大切なのは、「採用すること」ではなく、お互いを理解し合いながら一緒に働くことです。
企業側は障がい特性を理解し 、必要な配慮や働きやすい環境を整える努力が求められます。一方で、働く障がい者も、自身の得意・不得意や必要な配慮を伝え、企業とのコミュニケーションを積極的に行うことが大切です。
このような相互理解が進むことで、
・ミスマッチの防止
・長期定着
・生産性向上
・職場全体のコミュニケーション改善
・ダイバーシティ推進
といった好循環が生まれます。
また、障がい者雇用は障がいのある方だけのための取り組みではありません。
誰もが働きやすい職場づくりを進めることは、高齢者、育児・介護と仕事を両立する社員、多様なバックグラウンドを持つ人材にとっても働きやすい環境につながります。
APPRECIATESでは、「制度として障がい者雇用を行う」のではなく、「企業文化として障がい者雇用を根付かせること」を目指しています。
企業と働く人が互いを理解し、支え合える職場こそが、これからの時代に求められる持続可能な組織づくりにつながると考えています。
まとめ
障がい者雇用は、単なる法令対応ではなく、人材不足への対応や多様性の推進、職場環境の改善など、企業にとって多くの価値をもたらす取り組みです。
最初から完璧を目指す必要はありません。自社に合った方法を見つけながら、一歩ずつ取り組みを進めることが、継続的な雇用につながります。
APPRECIATESでは、障がい者雇用に関する情報発信や支援を通じて、中小企業が安心して取り組める環境づくりをサポートしています。
「何から始めればよいかわからない」「制度について詳しく知りたい」という企業様は、お気軽にご相談ください。問い合わせフォームはこちら
